「クリーンルーム」について

現在、クリーンルームは、半導体や液晶の製造には不可欠であり、先端技術製品の高密度化とともに半導体を中心としてクリーンルームもより高性能なものを目指し開発が進められてきました。
米国連邦規格209Eによると、クリーンルームとは「空気中の浮遊粒子を定められた制御値以下に制御された部屋」と定義されています。
また、その浮遊粒子を主に塵埃を対象とするI.C.R(INDUSTRIAL CLEAN ROOM)と細菌を対象とするB.C.R(BIOLOGIALLY CLEAN ROOM)に分かれます。
クリーンルームでは精密で再現性のある加工を可能にする製造設備、これらを支え長時間にわたり温度、湿度、気流とともに空気清浄度を同一条件に保つ空気調和設備が備わっていることが必須条件といえます。

●クリーンルームの概要

通常のエアコンディショニングでは室外の空気取り入れ時に塵埃が入ってきます。これをフィルターできれいにする必要があります。フィルターは数段階にわけてだんだんと細いフィルターを使用していき、最後の細いフィルターは0.1ミクロン以上の粒子は通さないようにします。また塵埃は室内の人や装置から発生するため、清浄空気は連続的に入れ替えが必要で1時間あたり数十回~数百回の入れ替えを実施しなければいけません。室内の清浄さをクリーン度のクラスで表します。

●クリーン度(清浄度)

クリーン度とは、室内の空気1立方フィートあたり、0.5ミクロン以上の粒子が何個存在しているかを数字で表します。(単位:cfm=cubic feet per minute 立方フィート/分)
クリーン度はFED-STD-209が広く採用され、日本では、JIS B 9920E規格で規定されています。
例(FED-STD-209E クラス1 クラス10 クラス100 クラス1000 クラス10000)

●クリーンルームの方式

クリーンルームの基本的気流方式であるコンベンショナル(在来形)の乱流方式と層流形の水平(クロスフロー)方式と垂直(ダウンフロー)方式とがあります。
1.コンベンショナル・・・一般的によく使われる方式。クラス1000~100000のクリーンルームに適し設備費、ランニングコストとも他の方式よりも低価格。
2.クロスフロー・・・ 片側の壁面に設置されたHEPAフィルターより層流で水平に吹き出し反対側の壁面より排気して循環させます。クラス100を比較的安価にて得られます。
3.ダウンフロー ・・・天井全面に設置されたHEPAフィルターより層流で垂直に清浄空気を吹き出し、床面より排気して循環させます。清浄空気が最短距離で排気されるため、稼動時の作業者からの清浄度に対する影響は少なく、クラス1~クラス100といった高レベルクリーンルームには最も望ましい方式です。

●クリーンルーム用フィルターについて

除塵フィルターとして一般的に使われているものとして、HEPA(High EfFiciency Particuiate Air Filter)があり、最近は電子部品産業において超高性能フィルターULPA(Ultra Low Particuiate Air Filter)も使われています。クリーンルームの清浄度(クラス)を決定するのはフィルターの性能によるものです。また、実際にクリーンルームにエアフィルターが設置される場合には、中性能フィルター、HEPAフィルター、ULPAフィルターというように、一つの空気の流れに対して各種のエアフィルターが直列に配列されることが多いです。

●クリーンルーム内での可動部分の考え方

クリーンルーム内で使用される製造装置は可動部分から発塵が無いように設計しなければなりません。使用機器の運動機構からの発塵の測定方法はJIS B 9926によって規定されています。できれば、運動機構の水平往復動、垂直往復動、回転運動は単体運動が望ましく、組み合わせ機構は摩擦および振動の発塵の原因となります。また、可動機構による外部への発塵を抑えるため、カバーや排気機構を装備させる必要があります。そのため、装置全体にカバーをし、排気ダクトで外部へ出すなどの対策をしていかなければなりません。そのほか、装置その物をクリーンベンチに組みこむ方法もあります。

●その他(クリーンベンチ)

クリーンベンチは、作業台の上にカバーをつけその中にフィルターをいれて、台上をきれいな空気をおおう方法です。このクリーンベンチをクリーンルーム内で使用すると、一段とクリーン度が増し特に高クリーン度を要する作業に適しています。ここで使用するフィルターはHEPA、ULPAといった高性能フィルターです。