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導電性フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.067

導電性フィルム

公開日: 2002/12/16
解説:

ほとんどのプラスチックは電気を通さない絶縁体であることは、No.66の静電防止フィルム で紹介しました。
しかし、本来の高分子の構造によって導電性を持つプラスチックも存在する。
ノーベル賞を受賞した白川英樹らが、1977年に高い導電性のポリアセチレンを発見して以来世界的に注目され、多くの研究がなされてきた。
こうした本質的な導電性プラスチックとは別に、電子部品の包装などによく使用されているのは、複合導電性プラスチックである。
これは、汎用プラスチックに無機物質をはじめとする導電体を添加して導電性を持たせたもので、これをフィルムに加工したものが、包装業界などで一般にいわれている導電性フィルムである。
静電防止フィルムが静電気発生の抑制を主眼としているのに対し、導電性フィルムはすでに発生している静電気を、素早く確実に取り除くことを主眼としている。
これによって電子部品などを静電気による障害から保護するわけだ。
パソコンに少し詳しい人なら、パソコンのマザーボードにメモリなどを追加した経験があると思われるが、その際、部品のデリケートな部分には素手で触れないようにとの注意書きがあったはずだ。
静電気で破損してしまうからだ。そのため、こうした部品の多くは導電性フィルムで包装されている。
汎用プラスチックに導電性を付与するためには、金属やカーボンブラックなどが用いられる。
金属としては金、銀、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの粉末や繊維が利用されるが、高い導電性が得られる反面、高比重、高充填が必要で価格も高く、また加工性もカーボンブラックに劣るため、包装用としては不向きだとされる。
カーボンブラックのなかでも、導電性に適しているのはアセチレンブラックとファネスブラックだという。
こうしたカーボンブラックの種類および配合量によって、あるいは混練分散時間によって、導電性とその再現性に大きな影響が出る。
なお、カーボンブラックの混練成形のほか、分散塗料をコーティングする方法がある。
このほか、主にポリエステルフィルムの表面に真空蒸着などによって酸化インジウム、ヨウ化銅などの導電性薄膜を成形した透明導電性フィルムがあるが、これは液晶ディスプレイなどに使われる。

2003年1月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.103に掲載

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