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水溶性フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.052

水溶性フィルム

公開日: 2005/5/31
解説:

古くから、水に溶けるフィルムとしてはでんぷんからつくったオブラート、ゼラチンからつくった薬のカプセルなどがあります。
プラスチックは水分を含んだ食品を包装しても安全であるというのが大きな特徴ですが、逆に水に溶けることを売り物にしているプラスチックもあります。
ポバール(ポリビニルアルコール)がそれです。
ポバールは酢酸ビニル樹脂をアルカリと反応してつくる白色の粉末です。
ポバールの水溶液は接着性が強く、家庭用の糊として使われます。
日本の切手の裏糊はポバールを主体にしています。
工業用には紙の接着剤、洗濯糊、エマルジョンの安定剤などに用いられています。
ポバールフィルムは、以前、プラスチックフィルムの基礎知識:No.39 でとりあげましたガスバリア性に優れ、強靱であるのが特徴ですが、これは、一度つくったフィルムを後処理で耐水性にしたものです。
それでも水に弱いため、食品包装ではラミネート用として使われることが多いようです。
食品以外では、静電気が起こりにくくほこりがつきにくいという特徴から、毛布、タオル、セーターのような繊維製品の包装に用いられています。
水溶性フィルムとしては、内容物を包装したまま水の中に投げ入れて使うといった用途があります。
たとえば農薬です。
袋のまま水田に投げ入れると、やがて袋が解けて農薬が散布された状態となります。
袋のまま散布しますから、散布時の農薬の人体への影響はありません。
最近では特殊な技術を使い、液体を水溶性フィルムで包装するといったことも行われているようです。
使われる場所は特殊ですが、水溶性フィルムはいろいろな分野で応用されています。

山本卓彦著「おもしろいプラスチックのはなし」(日刊工業新聞社)などを参考にしました。

1999年1月発行富士インパルスニュースVol.85に掲載しました。

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