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A-PET

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.082

A-PET

公開日: 2007/3/29
解説:

PET=ポリエチレンテレフタレートはペットボトルとして広く知られていますが、シートを熱成形加工した容器としても広範囲に使われています。
ただ、この成形容器の方は、広く使われている割にはそれほど一般的に知られていないようです。
成形容器のもとになるPETシートがA-PETと呼ばれるものです。
A-PETのAは、アモルファス=未結晶状態の略で、配向結晶化状態のPETフィルムとは異なります。
A-PETは透明度の高いプラスチックシートで、熱成形加工により容易に、ガラスのように透明で、光沢ある、内容物がよく見える容器(蓋)をつくることができます。
A-PETは透明性のほか、安定剤や可塑剤を含まないことによる安全性、低温耐衝撃性などの特徴を持ち、食品向けに多く使われています。
とくに一人暮らしや少人数家族向けの小分け食品の包装容器として、スーパーやコンビニなどの総菜カップでの需要が最も多く、次いで漬け物などの汎用カップや和菓子や洋菓子のデザート容器などにも多く使われています。
食品以外の分野では、塩ビ容器の代替としてブリスターパックやクリアケース、トレイなどの分野で需要拡大に向けた取り組みがおこなわれています。
たとえば導電性を付与して静電気を防止する半導体部品向けトレイとか、防曇性やUVカット特性などを付与した製品などが登場しています。
A-PETの耐熱性は60~70℃で加熱用には向きません。
これに対して結晶化することにより220℃の加熱に耐えられるようにしたC-PETの容器もあります。
A-PETが電子レンジやオーブンなどでの加熱調理ができないのに対し、C-PETは加熱調理用の食品容器として使われています。
こうしたPET容器は、燃焼時に発生する発熱量が低く、また、燃焼時に有毒ガスが発生しないため、環境に優しい容器とされています。
さらに、A-PET製品は単一素材から作られており、また添加剤を含まないためリサイクル性に優れていると言われ、リサイクル品として鶏卵パックなどに再利用されています。

2007年4月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.120に掲載

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