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PEN(ポリエチレンナフタレート)

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.081

PEN(ポリエチレンナフタレート)

公開日: 2006/12/29
解説:

PENとはポリエチレンナフタレートの略で、熱可塑性の高機能性ポリエステルの一種です。
PENはPET(ポリエチレンテレフタレート)とほぼ同様の製造プロセスでつくられ、ほぼあらゆる点でPETより高い性能を有しています。
しかし、PETはいまや「ペットボトル」といったように、カタカナで表記されるぐらい広く知られているのに対し、PENはこれまでのところあまり市場には浸透していません。
価格が高く、モノマーソースが限られているのがその理由だと言われています。
PENの物性をPETと比較すると、耐熱性が高い、ガスバリア性が高い、紫外線バリヤ性が高い、臭いの吸着が少ない、耐化学薬品性が高い、機械的強度に優れている-などがあげられます。
これは、PETがベンゼン環が一つのテレフタル酸を使っているのに対して、PENはベンゼン環が二つ連結したナフタレン環の骨格を持っているためとされます。
PEN樹脂の一般的な用途は、溶融延伸したフィルムによる電子部材です。
この分野でもPETフィルムは多用されていますが、PENはPETに比べて高剛性であることから薄肉化できるなどのメリットがあり、液晶パネルの輝度向上フィルム、耐熱コンデンサ、スピーカー振動板などに普及しています。
包装用としてはシート成形やブロー成形による容器分野に使われています。
シート成形容器では、果肉入りの高級ゼリー容器などに採用されています。
また、ブロー成形ボトルとしては、PET/PENのブレンドまたは共重合樹脂が小形ボトル用として開発されているほか、PEN樹脂100%のボトルはリターナブルボトルとして使用することができ、注目されています。
内容物が樹脂に吸着しにくく、酸素などのバリヤ性に優れるといった特徴が、リターナブル用にマッチしているからです。そのため、ビール用ボトルでの採用例が今後も増えていきそうです。
一方、PEN樹脂を含む共重合ポリエステル樹脂は、従来のPETボトルが抱えていた60~70℃を超えると中身の色素や成分が吸着されたり、微細なクラックが発生するといった問題が解決されるなどPENがもつ特性を維持しつつ、ヒートシール性や耐落下衝撃性などを付与できるなどとして注目されています。
代表的なPEN樹脂メーカーとしては、帝人化成、東洋紡、三菱化成などがあげれます。

2007年1月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.119に掲載

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