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微孔フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.080

微孔フィルム

公開日: 2006/10/31
解説:

青果物をプラスチックフィルムで包装することにより、青果物自体の蒸散作用によるしおれを防いだり、表面の機械的損傷や温度変動による表面の結露を防ぐことができます。
しかし、ガス透過性の低いフィルムで青果物を密封すると、包装内の炭酸ガス濃度が高くなりすぎ、異臭が発生するなどの障害が起きます。
また、老化を促進するエチレンガスによって鮮度を損なうことにもなります。
つまり青果物のフィルム包装は、青果物の鮮度維持にとって薬と毒の関係にあるわけで、条件が揃えば顕著な鮮度保持効果がありますが、条件が合わないと過湿害、呼吸障害、微生物の害が発生して、逆に早く品質を損なうことにもなります。
一般に青果物に使われるプラスチックフィルムは、水蒸気透過性が低く、ガス透過性の高いものが主となりますが、包装内の環境条件をより最適にするため孔開け加工したものが有孔フィルムです。
孔は肉眼では見えない微細なものを多数開けたものから、径10mm程度の孔を適当に開けたものまでさまざまです。このうち、肉眼では見えない孔を多数開けたフィルムが微孔フィルムと呼ばれるものです。
青果物は収穫後も呼吸を続け、成熟・老化していきますが、この青果物の呼吸をできるだけ低く抑えることを鮮度保持のポイントとしたのが微孔フィルムです。
微孔フィルムに開けられる孔は30~100ミクロンという小さなもので、この微孔を通して青果物の呼吸に必要な酸素を取り入れ、二酸化炭素を逃がす仕組みになっています。
青果物によって呼吸の条件はさまざまですが、個々の青果物の流通条件に応じて微孔の大きさと数を調整することにより、袋内を最適な状態にコントロールして呼吸が低くなる平衡状態、いわば青果物の"冬眠状態"をつくりだすのです。
二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ラミネートフィルムなど、それぞれの青果物に適したフィルムに孔を開けることができます。微孔フィルムとしては、住友ベークライトの「P-プラス」や東洋紡の「GFフィルム」などがよく知られています。

2006年11月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.118に掲載

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