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エチレン吸着フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.077

エチレン吸着フィルム

公開日: 2005/10/3
解説:

エチレンとは、果物や野菜で作られるガスで、成熟と植物組織の老化を促進させる植物ホルモンの一つとして知られています。
果物を収穫したのち、保存したり運送したりするあいだに、鮮度が落ちてしまうことになるのは、このエチレンの発生と影響力が大きな原因といわれています。
したがって、このエチレンガスをうまく除去してやることができれば、果物、野菜、花き類の品質維持に役立ちます。
エチレンガスを除去する方法として、エチレン除去装置やエチレン除去剤(パック、シート)、エチレンガス吸着包材などを使用します。
エチレン除去装置は低温貯蔵庫などで、またエチレン除去剤は流通用段ボール内などのエチレンガスを除去するのに使われるのに対し、エチレン吸着包材は主に個包装でエチレンを除去するのに使われます。
エチレンガス除去剤としては、大谷石、ゼオライト、炭酸カルシウム、過マンガン酸カリウムなどが使われ、これをポリエチレンフィルムなどに練り込んだものがエチレン吸着フィルムです。
エチレン吸着フィルムの場合、フィルム包装内部のエチレンガスを除去して青果物の老化を防ぐだけでなく、包装内部の酸素と二酸化炭素濃度を特有のガス透過性によって適正に維持したり、青果物が蒸散する水分を包装内部に維持し、環境を高湿度で維持するなどの機能を持たせたりします。
最近ではエチレンガス除去剤として、竹表皮からエチレン酸化酵素を抽出してキチン・キトサンと組み合わせたものや、珊瑚の化石であるコーラルサンドを特殊加工したものなども登場しています。

2005年10月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.114に掲載

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