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防曇フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.075

防曇フィルム

公開日: 2005/4/5
解説:

電防曇ガラス、防曇ミラー、防曇ゴーグル....防曇性を必要とする商品は数多くあります。
青果物や食品などを包装する場合、蒸散作用や温度差などによって包装の表面が曇ります。
見栄えがよくないのはもちろん、水滴が内容物にしたたり落ちることによって内容物が腐敗する可能性もあるため、防曇性包材が必要となってきます。
「曇り」とは、ガラスや鏡などの表面についたたくさんの細かな水滴が、光を乱反射させ、光の正常な通過や反射を妨げている状態を言います。
その「曇り」の元となる細かな水滴を水膜状にして「曇り」を解消します。
これを親水性作用と呼びます。
こうした作用を引き起こすものが防曇剤で、いろいろな種類の界面活性剤が主に使用されています。
包材の場合、フィルムやシートの表面に防曇剤をコーティングしたり、原料の段階で練り込んだりして防曇性を付与します。
農産物包装に防曇フィルムがよく使用されてことは知られています。
農産物は生き物で呼吸しているわけですが、その呼吸作用によって水分が蒸散され、包装フィルムの曇りの原因になるからです。
防曇フィルムは農産物以外にもいろいろな分野で使われています。
たとえば、ポリオレフィン系のラップですが、塩ビ素材に比べ「濡れ性」がないため、それを付与する目的で防曇剤が添加されます。
防曇剤はラップの滑り性にも関係します。
滑り性が悪いと包装機の中でラップが引っかかり作業効率を悪くします。
畜肉、ハム・ソーセージの包装にも防曇フィルムが使用されています。
温度の関係で空気中の水蒸気が結露するのを防ぐためです。
そのほか、惣菜容器のフタ材なども防曇加工がほどこされています。
最近は複雑な形状のフタが増えていますが、防曇剤の塗布量の増加は成形機の熱板清掃による生産性の低下をまねくという問題があり、フタの成形性と防曇剤の塗布量のかねあいが難しいといわれています。

2005年4月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.112に掲載

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