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防錆フィルム

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プラスチックフィルムの基礎知識 No.063

防錆フィルム

公開日: 2001/09/20
解説:

金属製品の保管や輸送にとって、錆を防ぐことは重要な課題です。
防錆のための手段として一般的に錆止め油が用いられていますが、防湿剤のオーバーラップが必要とされるほか、製品に塗布されている油を落とす手間や廃油処理の問題があります。
こうしたネックを解消するものとして登場したのが防錆フィルムです。

一般的に錆の発生は、水と酸素を要因とします。
したがって、金属製品をバリア性のフィルムで密封して外気の侵入を防ぎ、内部を乾燥状態にして保持すれば錆の発生は抑制できるわけですが、防錆フィルムはさらにフィルムから発生する気化した防錆剤によって高い防錆効果を持たせたものです。

フィルムに練り込まれた防錆剤は、常温で徐々に気化(昇華)して密閉された空間に充満します。
この気化した防錆剤は、金属表面の極めて薄い水被膜中に溶解し、さらに金属表面に物理的、化学的に吸着して防錆被膜を形成します。
この気化防錆剤による防錆被膜は、金属の錆となる外気から遮断し、錆への変化を防ぎます。
この気化性防錆剤による防錆被膜は、膜厚が極めて薄く、金属表面への吸着力が弱いため、金属表面に外観上の変化を与えないことはもちろん、金属地の減少などの変化もないのが特徴です。

したがって、防錆包装後の金属製品は、表面を洗浄することなくすぐに使えるわけです。
防錆フィルムは、高防湿性を得るためにバリア性の高いフィルムによるラミネート構成になっています。
アルミ包材を使う方法もありますが、中身が見えないという難点から、透明蒸着したPETフィルムが使われることもあります。

また、窒素ガス発生装置をつかって包装内部を不活性な状態にしたり、特殊乾燥剤を併用するなどによってさらに効果を高める場合もあります。
紙に防錆剤を塗布あるいは含浸させた防錆紙もありますが、フィルムに比べるとヒートシール性がなく、中身が見えないのが難点といわれます。

2001年10月弊社発行の富士インパルスニュースVOL.98に掲載

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